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「第11回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」の報告①/岡野 聡

 2024年7月12日(金)13:00より第11回あん摩マッサージ指圧師、はり師、 きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会が千代田区、航空会館で開かれました。
 この検討会の目的は、あはき柔整の広告ガイドラインを作成することです。そのためにこれまで各種業界団体や関係者の代表が集まり、各種の議題について意見を述べ、議論を重ねていきました。検討会は2018年に始まり、6年以上の歳月をかけて回を重ねて11回。 今回を区切りに、広告ガイドラインをまとめてパブリックコメントを行う予定、と厚労省医事課事務局より述べられました。パブコメを行う時期は未定とのこと。

 今回の検討会の議題は2つありました。「整骨院」名称についてガイドラインに記載する かどうかが1つ。もう1つはガイドライン案の追加、修正箇所の確認でした。
「整骨院」名称に関しては第9回検討会にて議論が交わされました。柔道整復師の開設する施術所の名称として許されているものは法令に基づく名称は接骨院、ほねつぎのみで「整骨院」という名称は法令には記載されていない名称なので今後「整骨院」名称の使用を認めない、ということになりました。
 この背景としては、第9回検討会が開かれたタイミングは2023年2月。柔道整復師国家 試験問題漏洩事件が発覚した直後でした。柔道整復師業界全体がコンプライアンスを軽視す る体質と疑われる環境にありました。そこに輪をかけて法令に基づかない施術所の名称とし て「整骨院」を多くの施術所の名称として使用されていることに対して検討会では問題視さ れ、「整骨院」の使用を今後認めないとガイドラインに記載することを柔整代表の構成員含めて全会一致で決まりました。
 第10回検討会では柔整代表構成員より「整骨院」名称について再度議論することを要請され、多くの構成員は一度決まったことを覆すことを疑問視する意見を述べましたが、議論は平行線で終わり、議題は次回に持ち越されました。

 第11回の今回、冒頭、柔整代表の構成員より提出された「整骨院」名称に関わる資料が 読み上げられ、次に医事課事務局より、先の参議院内閣委員会にて「整骨院」名称に関する 質問があった旨の報告がありました。質問の趣旨は「整骨院」の名称によって国民にいかなる不利益があるのかエビデンスを出すように、さもなければ広告ガイドラインに恣意的に「整骨院」の名称使用を禁止することを意味し、それは問題ではないか、というものでした。 続いて事務局より「整骨院」の名称についてガイドラインに記載するかどうかの議論をする 上で、3つの選択肢が示されました。1、「整骨院」名称の使用禁止の旨をガイドラインに記載する。2、「整骨院」名称の使用を認める旨をガイドラインに記載する。3、「整骨院」 に関しては一切ガイドラインに記載しない。議長はこれら選択肢のいずれを選ぶかを構成員に意見を求めました。
 結論は3となりましたが、主な意見としては次のものがありました。
「法令に基づかない名称が今まで認められてきたのは行政にも責任がある。今後は認めないし、現在『整骨院』を使用している施術所は老朽化した看板をつけ変えたり移転したりのタイミングで名称変更することとする、としていた。それは第9回検討会で一致した意見だったにも関わらずそれを覆すのはこれまでの議論を軽視することにつながりのではないか」
「国会質問で取り上げられ、エビデンスを示すことを求められたということで、その責任 をこの検討会で負うにはあまりに重すぎる」
「国家試験では『整骨院』の名称を使用することについては誤りとしてきたが、学校では実際はどちらでも良いと教えてきた。この際『整骨院』を認めても良いのではないだろうか」
「『整骨院』の名称を使用することに反対はしないが、一度決まった議論を再度やり直すことが認められるのであれば、あはき業種+『治療院で条件付きで認められた『治療院』 の名称を今一度、『治療院』のみで使用することを再度議論し直していただくよう、お願いしたい」
「『整骨院』についてガイドラインに記載しないということは現状維持ということなので 『整骨院』の名称使用を認めることをガイドラインに記載するのと同じではないか」
 これらの意見に対して議長からは、現状維持で結論というわけではなく今後別の形で議論する場を設けて再度議論することとし、この検討会では結論に至らなかった、ということで 今回はガイドラインには記載しない、ということとする旨が述べられました。
 事務局からは、「整骨院」の名称は法令にない。法令にないものについては良し悪しの判断はしていない。法令にない名称を認めるかどうかは現場に判断を委ねているのが現状であ る旨の説明がされました。
 次に前回示されたあはき柔整の広告ガイドライン案の修正箇所を確認し、座長より締めの挨拶がありました。
 最後に、医事課課長より以下の趣旨の挨拶がありました。
「政策決定におけるプロセスで一度決まったことをまた振り出しに戻すことが今後もあり得るとするなら問題だ、という意見をいただきました。ガイドラインを出した後、それに実効性を持たせるためには各団体が納得できる形を取る必要があるので再度議論してもらいました。しかし、議論を進めるプロセスとして議論が煮詰まった後、異論があった場合、再度議論するということを前例とするわけではないことをご理解いただきたいと思います。ガイドラインを出してそれで終わりというわけではないので引き続きよろしくお願いいたします。」

以上で第11回検討会は終了しました。
(「第11回あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」の報告②に続く)

岡野 聡(おかの さとし)
鍼灸院を営む個人事業主
独自の視点からあはき療法、業界に関する発信をしています。
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